「私には田舎が無い」ずっとそう思ってた。なんせお婆ちゃん家が京都の四条堀川で、どこ探しても土は無かった。
そして誰も「田舎のお婆ちゃん」って言わなかった。
そうなんです、だから私には田舎が無いって思ってた。
でも、夏休みやお正月は行くのが嬉しくて仕方がなくて、親戚中集まって色々なゲームをして、中庭には井戸水でスイカが冷やしてあった。
「ん?これは田舎の定義じゃないか?」と最近気づいた。
お婆ちゃんの家は、いわゆる「京都の鰻の寝床」で細くて長い建て方で、中庭を挟んで離れがあった。親戚の人数が多くて全員が来ると30人は超えた。町屋ではもうぎゅうぎゅう詰め。
それに、大好きな「夜店」が近くにあった。毎月9日に出る。
夜店とは、お祭りで屋台の出店の事です。
「田舎って辺鄙なところ」という事だけじゃない「皆んなが集うところ」でもあるんです そしてドーンと構えてビクともしない頼もしさがあるんです。
町は「冷たい」イメージがあるけど、大都会の高級マンション(防音壁で外の気配が分からない)じゃあるまいし、ご近所さんとのお付き合いもあるし、家の近くの店で何回も出会い仲良くもなる。
実は、田舎では皆無だけど大阪では下町だったので、よく食べに行った。
そういうとこの楽しさは、今でも忘れられない。